収益不動産を相続したら家賃は相続財産になるのか?

最近では資産の一環として収益不動産を保有、運用している方も増えてきています。
墨田区でも多くの収益不動産が存在していますが、ここで問題となるのが相続です。
収益不動産を保有している人が亡くなった場合、必然的に資産とみなされ相続を行う必要がでてきますが、その際に家賃はどのように扱えば良いのでしょうか。
本記事では収益不動産を相続した場合、家賃は相続財産になるのか、誰が受け取る権利があるのかについて墨田区で23年以上の間、不動産業の現場の経験から得た知識をお伝えしていきます。

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相続財産とは?

そもそも相続財産とはどのようなものを指すのでしょうか。
本題に入る前にまずはこちらから説明していきましょう。

相続財産に含まれるもの

相続財産とは、現金、有価証券、自動車や家財、ゴルフ会員権など実に多くの種類があります。
ちなみに相続財産はプラスのものだけではなく、住宅ローンや借金なども含めた全ての財産を相続する単純承認をおこなった場合は、負債に関しても相続されてしまうことを覚えておきましょう。

相続財産に含まれないもの

一方、生命保険の保険金や死亡退職金などは、相続財産に含まれません。
また、今回の記事で本題となっている家賃に関しても相続財産として「扱われる時期」と「扱われない時期」があるため、後ほど詳しく見ていきましょう。

家賃は相続財産として扱われるのか?

収益不動産は現金や株券などと同様、資産として保有されるものであるため、当然「相続財産の対象」と認識されがちです。
しかし、実際は相続前と後で発生した家賃に対して法的な決まりが異なるので、時系列ごとに家賃の取り扱い方法を把握しておく必要があります。
まずは最も単純な考え方である相続開始前から順番に説明していきましょう。

相続開始前は相続財産に含まれる

まず相続開始前の家賃については収益不動産のオーナー、つまり故人に帰属することになるので、現金などと同じように相続財産として取り扱われます。
該当する収益不動産に家賃が発生していた場合、借主が貸主に対して毎月家賃振り込みをしているため、「現金」として扱われるのです。
この考え方はとてもシンプルなので、悩むことはなく通常通りの相続方法で問題ありません。

相続開始後~遺産分割成立前は法定相続分に従って取得

この場合が一番ややこしい時期と言われており、この期間に発生した家賃に関しては、相続開始前とは異なる考え方をしなくてはなりません。
相続開始後から遺産分割が成立するまでの家賃は、法定相続分の割合に従ってそれぞれの相続人が取得することになります。
法定相続分とは、法律上定められた各相続人の取り分のことです。
簡単な例を紹介すると、父、母、子の3人暮らしの場合、父親が亡くなると母と子には2分の1ずつの法定相続が割り当てられます。
このルールに従って、収益不動産から生じた家賃に関しても継続して2分の1ずつの割合で受け取ることができます。
ちなみにこのルールは家賃だけではなく、家賃が入ってくる口座の銀行利子やマンションもしくはアパートの管理費にも適用されます。
したがって、収入だけではなく支出に関しても各相続人で支払い義務を負うことになるのです。

遺産分割成立後の家賃は相続財産に含まれない

遺産分割が成立した後に関しても、家賃の取り扱いは非常にシンプルです。
収益不動産の相続人は、遺産分割成立後に発生した家賃を取得することになるため、相続財産と家賃収入は別ものという考え方になります。
つまり、収益不動産を取得しても、相続開始から遡って遺産分割成立前の家賃を取得することはできないのです。

家賃収入のある収益不動産は誰が相続できるのか?

収益不動産に対する家賃について、時期により法的な扱いが異なるということを解説しました。
しかし、今度は該当する収益不動産や家賃を、自分が相続できる権利があるのか?という点に疑問を感じることでしょう。
こちらでは家賃収入が付随している収益不動産に関して、誰が相続する権利があるのかについて詳しく説明していきます。

遺言書がある場合

収益不動産を保有していたオーナーが亡くなった場合、遺言書が残されているかどうかによって相続人が変わります。
遺言書は故人の意思そのものとみなされているため、遺言書に「◯◯に当該物件を相続する」と書かれていれば、その通りに従います。
また家賃に関しても、相続開始日以降に発生したものに関しては相続人が受け取る権利を得ることができます。

遺言書がない場合

一方、遺言書が残されていなかった場合は、遺産分割協議を行ったうえで「誰がその物件を相続するか」が決まります。
遺産分割協議はスムーズに進むこともあれば、揉めてしまいそのまま申告期限を過ぎてしまうことも珍しくありません。
特に、遺言書のない場合は、該当する不動産だけではなく、家賃についても話し合いが進まないケースもあるでしょう。
このように、話し合いで「誰が収益不動産を相続するか」が決まらない間は、法定相続分に従って分割されます。

収益不動産を相続する際の注意点

収益不動産に対して相続権のある人が複数いる場合は、スムーズに遺産分割協議が進まないこともたびたびあります。
遺言書が残されていない場合はトラブルの元になるため、こちらで紹介する注意点を参考のうえ、できるだけ円滑に相続が行われるようにしたいものです。

収益不動産を相続した人が家賃も取得する

収益不動産の相続は、家賃が発生することによって「誰が受け取るか」が最も重要で、揉めてしまう原因でもあります。
分かりやすく、かつ、手続きが簡潔に済む方法は、収益不動産を相続した人が相続開始後に発生した家賃も受け取るようにすることでしょう。

賃借人への通知は確実に

収益不動産のオーナーが変わった場合、その物件を借りている賃借人に支障が出ないよう堅実に手続きをする必要があります。
具体的には、遺産分割協議が終わった後、不動産を取得した相続人への名義変更、賃借人との賃貸借契約の更新、引き継ぎなどが挙げられます。
この作業を行わなければ、賃借人は、オーナーが亡くなった後も家賃の振込先の変更が認識できないため、従前の振込先に家賃が振り込まれるなどのトラブルが発生してしまいます。

相続で揉める場合は売却も検討する

遺言書が残されておらず、収益不動産の遺産分割協議が上手く進まないこともよくある話です。
そのような場合、調停での話し合いに進むこともあるため、時間や心労などの負担を被ることになるでしょう。
調停を避ける方法として、相続人同士で揉めるとわかった時点や、揉めてしまいどうしようもなくなった場合に、不動産会社の力を借りて売却することです。
売却することで、揉めている根源である家賃収入の相続を話し合う必要がなくなるため、相続問題を円満に解決することができます。

収益不動産の家賃は時期によって取り扱いが異なる

資産として収益不動産を保有している方にとって、家賃は付加価値といえますが、オーナーが亡くなってしまった場合、場合によっては相続で問題が発生することがあります。
収益不動産の家賃を誰が受け取るかという問題は、相続開始前、遺産分割成立前、遺産分割後と異なるので、それぞれの事項を知った上で相続を行うようにしましょう。
石井不動産は、墨田区で賃貸管理・不動産会社を代々営んでおります。
長年信頼いただいているオーナー様をはじめ、墨田区や江東区以外の一都三県でも不動産管理や売却のお取り引きをさせていただいております。
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